7月27日、沖縄県名護市の辺野古新基地建設をめぐり、翁長雄志知事が埋め立て承認撤回を表明し手続きを開始した。直後の29日に開催された全交「違法工事はやめろ!辺野古、南西諸島の新基地建設」分科会では、生々しい実態と闘いの報告とともに、報道などではわかりにくい沖縄現地の問題についての率直な討議が行われ、8月以降の闘いの方針が明快となった。
ゲストは、辺野古ゲート前リーダーの一人、沖縄平和市民連絡会の上間芳子さんと宮古島「てぃだぬふぁ 島の子の平和な未来をつくる会」の当真まり子さん。
会場から「翁長知事の撤回表明が行われたが、なぜ多くの県民が求めていた撤回がこんなにも遅れたのか」とまずストレートな質問が出た。上間さんは「埋め立て承認取り消し手続きのときは、国との裁判で知事と稲嶺進前名護市長の2人しか証人採用されず、実質審理が行われないまま最高裁判決を出されてしまったにがい経験が県当局にはある。撤回しても、工事が止まるのは2週間とも言われる。前知事の公室長だったメンバーが外務省の参与となり県内部の情報収集もしている。県は知事と協議しながらベストの時期の撤回を行政として判断したと思う」。上間さんは、知事の撤回が遅いという理由で知事に反発して辺野古阻止闘争にも分断が持ち込まれようとしていることへの危惧を語り、「知事は本気で工事を止めようとしている。私たち県民は知事選で翁長再選を勝ち取る。それが工事を止める」と、強い決意に満ちた発言に、参加者の共感が広がった。
また、滋賀の参加者が、最近の〝基地引き取り論〟(普天間基地を本土に移設するよう求める運動)について違和感があると尋ねると、上間さんは「危険な基地はどこに持って行っても危険なもの。本土ではなく、米国に返すのが筋。本気で引き取るようには思えない」ときっぱり。
宮古島については、弾薬庫計画が出されている保良部落で「自衛隊官舎誘致署名」が住民の大半から集まったとの新聞報道に対し、当真さんは「説明もしないまま名前を書かせ、『お金がもらえるから名前を書いて』と集めた不当な署名。自治会の理事会で正式に自衛隊官舎誘致に反対を確認している」と、報道内容と現実の違いを説明。「宮古の住民は自衛隊ミサイル基地に反対している人が7割。市長の意見は民意を反映していない」と訴えた。
8月11日には県民大会。県民投票の署名も法定数を大きく超えた。名護市議選、那覇市長選、知事選と続く政治戦に勝利し、現地行動を強化しようと分科会参加者は拍手で決意を固めた。