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2025年2月16日(日)午前10時から、米国、台湾、韓国、沖縄からのパネリストと、国内12カ所のサテライト会場の対面参加者、そしてオンラインの個人参加者を結び、合わせて約400人の参加で、2.16 ZENKO 国際オンラインパネル(主催:ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)、ZHAP(ZENKO辺野古反基地プロジェクト)、後援:DSA(アメリカ民主主義的社会主義者)国際委員会)を開催しました。
基調報告
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まず主催者から基調と行動提起がされました。その中では、「台湾有事」「朝鮮半島有事」への介入を想定して日常化している日米韓他による大規模な合同軍事演習に反対し、東アジアから市民の国際連帯で戦争を止めていくために本集会が開催されることが確認されました。
パレスチナ人民闘争戦線(PPSF)からの連帯ビデオメッセージ
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次にパレスチナ現地からパレスチナ人民闘争戦線(PPSF)からの連帯ビデオメッセージが上映されました。PPSFはPLO(パレスチナ解放機構)の中で非暴力の抵抗闘争を続ける民衆組織で、昨年のZENKO in 大阪へのオンライン参加以来、ZENKOが連帯関係を築いてきたパレスチナの解放運動団体です。アーマド・マジュダラーニ書記長は、トランプによる「ガザ所有」発言の直前に録画されたビデオメッセージの中で、「これら(世界中で展開されているパレスチナ連帯)の行動は、侵略、アパルトヘイト、そして占領下パレスチナの各地で現在もさまざまな形で続くジェノサイドに直面する私たちの人々のレジリエンス(耐久性)を強化する上で、大きな影響を与えています。停戦や平穏についての議論が行われている一方で、侵略戦争はなおも続き、占領は法や規範を日常的に侵害し、野蛮な物語を永続させています。このことは、私たちの人々の正当な自己決定権と、独立国家の樹立という権利を引き続き侵害しています。」と述べ、引き続く、パレスチナ連帯行動の全世界での強化を呼びかけられました。
続いて順次4人のパネリストからの報告を受けました。
米国からロナルド・ジョセフさん(DSA(アメリカ民主主義的社会主義者)国際委員会運営委員)
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米国からはDSA(アメリカ民主主義的社会主義者)国際委員会運営委員のロナルド・ジョセフさんが、「DSA‐第2次トランプ政権のアジアにおけるアメリカの軍事化とどう闘うか」というタイトルで報告。トランプ就任に際して、DSAは全国で新たな加入者が増加しているという力強い報告に続いて、東アジア、主にフィリピンの軍事化に関わる闘いに言及されました。フィリピンでは、2023年に「米比防衛協力強化協定(EDCA)」の改訂をし、米軍が使用できる基地をそれまでの5基地から9基地に拡大した。(新たに指定された4基地は台湾及び南シナ海に面している。)DSAは「フィリピン人権法(PHRA)」を支持しており、人権侵害が続いている間はフィリピン軍と警察への米国の軍事資金提供を停止することを求めている 。」また、DSAの基本方針、「- 沖縄、韓国、フィリピンを含むすべての海外軍事基地を閉鎖すること。 – 朝鮮(DPRK)を含む他国への制裁を終了すること。- イスラエルやウクライナを含むすべての政府への軍事援助を停止すること。- 中国との紛争を平和的に解決することを促進すること。- 朝鮮半島の平和と和解のプロセスを支持し、平和条約を締結して朝鮮戦争を正式に終結すること。 – 直ちにNATOから脱退すること。- 軍事予算を大幅に削減し、真の国防に必要な最低限のレベルにとどめ、国外での軍事力行使を目的としないこと。」が再確認され、引き続き東アジア地域の運動団体及び市民との国際連帯を強化する決意が表明されました。
台湾からツァン・ルーシンさん(台湾労働党)
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台湾からは台湾労働党のツァン・ルーシンさんが「国際連帯で『台湾有事』を止めよう!」というタイトルで報告されました。ツァンさんは、昨年5月に就任した民進党頼清徳総統の就任演説での挑発的な発言「我々は国家を守護するという決意を示し、全国民の国と家庭を守るという意識を高揚させ、国家安全保障法制を完備し、国防力を強化しなければならない」を批判。頼総統が「全社会防衛レジリエンス委員会」を3ヶ月ごとに開催し、国民動員、活用、戦略物資、エネルギー、インフラ、避難施設、情報通信、輸送などの配分及び運用を含む戦争準備作業を直接管掌し始めた」と台湾社会全体の軍事化の現状を説明しました。頼総統は40万人以上の能力を備えた「民力」を訓練すると発表し、(この40万人は戦争時に軍事勤務に投入)、昨年10月には、教育部を通じて、高校生に「服務同意書」を発送し高校生の「民力」への編入を画策しましたが、学生の保護者からの強い抗議を引き起こしたとのことです。ツァンさんは、「今年は全世界反ファシズム闘争勝利80周年であり、台湾が日本の植民地支配から脱却し、中国に復帰してから80周年でもあります。特に私たち台湾の場合、民進党が日本のファシズム勢力の敗北を認めようとせず、終始「終戦」と呼び、台湾が植民地から解放され再び中国に戻ったことを記念しようとせず、「台湾光復節」を祝日から除外したため、私たちは更に反ファシズム闘争勝利80周年の意義を浮き彫りにする必要があります」と訴えられました。日本の私たちは、「台湾有事は日本有事」と介入を煽る戦争勢力を止めていかなければなりません。
韓国からキムヨンテさん(群山セマングム新空港白紙化闘争活動家)
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韓国からは、キムヨンテさん(群山セマングム新空港白紙化闘争活動家)が 「非常戒厳令との闘いと韓国の反基地運動」と題して報告された。現在拘置所に収監されている尹錫悦大統領の弾劾審判が憲法裁判所で進められている。早ければ2月末から3月初めに判決を下す可能性がある。仮に弾劾が成立した場合、60日以内に大統領選挙が実施され、5月初めには次期大統領が就任することが予想される。」「昨年12/3の非常戒厳発令後の混乱の中で、米韓合同軍事演習の頻度が増しており、2~3月と次々に実戦さながらの大規模演習が目白押しになっている。」また12/3以降、米国政府は韓国政府や国会に対して数十回にわたる内政干渉を行ってきた。米国による内政干渉は、現在の韓国民衆や若者たちの大きな反発を呼んでおり、今後も韓国民衆の抵抗が続くと予想されている。全国各都市や在韓米軍基地前での抗議として、剃髪闘争(삭발투쟁)がすでに行われ、今後も継続される見込みでだと報告されました。そのような情勢下、「韓国内10カ所で進行している新空港建設或いは滑走路拡張計画に反対して、2月10日に『全国新空港白紙化連帯』発足記者会見が開かれ、地球上にこれ以上の空港は必要ない。死の滑走路を止めろ、と訴えた」とのこと。10か所もの新空港計画の多くが軍民共用を前提としており、対中国封じ込めの軍事戦略に位置づけられていると言います。韓国でも反基地運動の全国ネットワークが進んでいるニュースは大変励まされるものでした。ぜひとも国際連帯で繋がりともに東アジアの軍事化を止めていきたいものです。
沖縄から新垣邦雄さん( ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会 事務局長)
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パネリストの最後は、沖縄から新垣邦雄さん( ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会 事務局長) から 「戦争準備に抗う沖縄ー日本ーアジアの市民連帯」 というタイトルで報告していただきました。新垣さんは、冒頭、「沖縄は米日政府の軍事植民地であり、県民は軍事植民地の奴隷である。…沖縄はガザと同様、周囲を海に囲まれ、逃げるすべがない。ミサイル・無人機戦争から沖縄県民が絶滅を免れるには「台湾有事」「朝鮮有事」「インド太平洋」の軍事拠点を無くし、米軍・自衛隊を沖縄から追放するしかない。」と述べ報告を始められました。米軍事植民地としての沖縄の歴史を振り返り、米兵による性加害事件の続発と隠蔽、日米安保の地球規模への拡大に言及。そして今や政府は「拡大抑止(核使用を含めた日本防衛)」を強調し続けています。2024年7月の「日米2+2(防衛・外務閣僚会議」で「核抑止強化」を確認。24年12月に「拡大抑止」日米ガイドラインを策定。「有事の際の米国の核使用を日本と意思疎通」、石破茂首相は就任後に「核共有論」に言及しました。これらの状況は、一旦この地域での有事が発生すれば核使用による終末戦争へとエスカレートする危険を示唆している。」と新垣さんは警鐘を鳴らされます。こうした状況下、次週鹿児島で結成される「沖縄・西日本ネットワーク」をさらに広げ、国内的な反基地運動の連帯を強めることと同時に、東アジア各国の市民が国際連帯の絆を強め、軍縮と対話による戦争回避を目指す必要性を強調されました。
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オンラインパネルはその後、休憩をはさんで、質疑応答をし、地域からの取り組みとして、昨秋のZENKO首都圏イスラエル協力企業抗議要請行動、2月ZENKOユース沖縄参加団、そして京都から祝園弾薬庫増設に反対する取り組みの報告を受けました。最後に主催者から、行動方針の筆頭に掲げた。第3次ZHAP国際賛同署名キャンペーンについて具体的に提案がありました。市民の国際連帯で東アジアから戦争を止めていくための呼びかけに賛同していただける個人・団体を広げ、最終的には日米韓台の政府及び国連に提出していきます。当面、日英韓台4か国語の署名を用意し、オンラインと紙ベースの両方で集めていくという当面の方針が提起されました。
最後にパネリストから一言ずつメッセージを頂いて、今回のオンラインパネルは成功裏に終えることができました。今回のパネルで報告された内容をしっかりと受け止めて、国際連帯の運動をさらに強めていきたいと思います。
(ZENKO 日南田)