【声明】安倍政権・日本企業は強制動員被害者の韓国大法院判決を受け入れ、ただちに謝罪と賠償を行え

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安倍政権・日本企業は強制動員被害者の韓国大法院判決を受け入れ、ただちに謝罪と賠償を行え

2018年11月16日
ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)

10月30日、韓国の大法院(最高裁)の全員合議体(大法廷)は、日本の植民地支配による強制動員被害者(元徴用工)のイ・チュンシクさん、ヨ・ウンテクさん、シン・チョンスさん、キム・ギュスさんらが、日本企業の新日鉄住金(旧日本製鉄)を対象に提起した損害賠償訴訟の再上告審で、一人あたり1億ウォン(約1千万円)の賠償を命じたソウル高裁の判決を確定した。これは日本帝国主義の植民地支配下に行われた強制連行、強制労働に対する日本企業の責任を認め、損害賠償と権利回復を命じた画期的判決である。

日本政府は第2次世界大戦中、労働力不足を補うため、植民地にしていた朝鮮半島からも人員を動員した。原告たちは、「2年間訓練を受ければ、技術を習得することができ、訓練終了後、朝鮮半島の製鉄所で技術者として就職することができる」という広告を見て応募をして日本で働いたが、実際には賃金は最後まで払われなかった。まだ10代であった原告たちは、当初の話とは全く違う過酷な条件で働かされ、逃走しないように厳しい監視下におかれ、時に暴力を振るわれた。1997年日本において裁判を起こしたが2003年最高裁で敗訴が確定した。これに対し原告たちは2005年に韓国裁判所に訴えた。今回の判決は原告たちの人間としての当然の訴えを戦後73年目にしてようやく認めたものである。
ところが、日本政府はこの判決に対してあらん限りの非難を浴びせている。安倍首相自身が「本件は、日韓請求権協定によって完全かつ最終的に解決している」と居直り、「国際法に照らしてあり得ない判断」とまで言ってのけた。「政府としては『徴用工』という表現ではなく、『旧朝鮮半島出身の労働者』と言っている。4人はいずれも『募集』に応じたものだ」と、原告たちが勝手に日本に働きに来たかのように事実のわい曲まで行った。
さらに判決翌日の社説で日本の5大紙は、「『徴用工』賠償命令 抗議だけでは済まされぬ」(産経)、「『徴用工』判決 日韓協定に反する賠償命令だ」(読売)、「日韓関係の根幹を揺るがす元徴用工判決」(日経)、「韓国最高裁の徴用工判決条約の一方的な解釈変更」(毎日)、「(日本)政府が協定をめぐる見解を維持するのは当然」(朝日)と、「日韓協定で解決済み」とする安倍政権と同じ立場で判決糾弾のキャンペーンを繰り広げた。
安倍政権は、該当企業に対して説明会を行い、「損害賠償や和解に応じることのないよう企業らに徹底的に周知させる方針。この説明会は、外務省、経済産業省、法務省など関連部署が合同で開催。日本政府は、企業らの訴訟対応を積極支援する予定であり、訴訟費用の支援も検討」(読売新聞)、「韓国政府が日本企業の代わりに賠償する立法措置を取らない限り、国際司法裁判所(ICJ)に提訴する方針」(産経新聞)という対応まで打ち出している。
しかし、こうした安倍の路線はすでに破綻しつつある。11月14日の衆議院外務委員会で、河野外相は「(日韓請求権協定によって)個人の請求権が消滅したと申し上げるわけではございません」と答弁せざるを得なかった。そして韓国を始め強制動員・強制労働被害に対する新たな訴訟の動きも出てきている。
安倍政権は現在、出入国管理及び難民認定法の改定によって外国人労働者受け入れの大幅な拡大をめざしている。「外国人技能実習生」への人権侵害は放置・温存したまま、外国人労働者に対する劣悪な労働条件を押しつけることが狙いだ。また、海外では、アフリカ・ジブチにある日本の自衛隊基地で待遇改善を求める基地労働者の労働組合員を現地の自衛隊が銃で武装して威嚇するという事態を引き起こしている。
安倍政権がマスコミも動員して今回の判決を強硬に非難しているのは、このような日本のグローバル資本が現在進めようとしている外国人労働者に対する一層の搾取と支配に対する足かせとなり将来の法的責任を問われることを恐れているからだ。
韓国・中国・アジアの強制動員・強制労働被害者の闘いと連帯し、ただちに日本政府・戦犯企業に被害者に対する謝罪と賠償を行わせよう。日本政府とグローバル資本による外国人労働者に対する新たな支配をやめさせよう。憲法9条改悪をめざし労働者・市民の権利を抑圧する安倍政権を倒そう。日韓市民の連帯で排外主義を許さず、東アジアの平和構築へ前進しよう。映画「ソソンリ」を広げ全交が行う「武力なき平和のためのスピーキングツアー」を成功させよう。

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