種子島・奄美大島への連帯訪問【ZENKO沖縄参加団 3月】

日米両政府は対中国の軍事戦略の最前線として沖縄・南西諸島の軍事要塞化を加速させています。その中で鹿児島でも軍事要塞化に抗う市民の闘いが行われています。5~6月に開催を準備しているZENKOスピーキングツアーに向けて、種子島、奄美大島を訪問し、現地の人々と交流を行った内容を報告します。

3月25日(金)

「候補地」から「整備地」へ

飛行機から見える馬毛島

鹿児島空港から種子島空港に向かう機中から馬毛島が見えた。馬毛島は種子島から西へ約12㎞に位置する。ここに日米が共同使用する軍事施設が造られようとしている。地元住民への説明もないままに、2022年1月7日に日米両政府が突如「候補地」から「整備地」になったことを確認したと公表した。馬毛島の基地反対運動は大きな局面を迎えている。

種子島から見える馬毛島

馬毛島への基地配備計画

馬毛島の基地計画

馬毛島の人口はピーク時の1959年には113世帯、528人の住民が暮らし、小・中学校もあった。住民はサトウキビ栽培や酪農、トビウオ漁、トコブシ漁などで生計を立てていた。しかし、平和相互銀行が馬毛島開発(株)を設立し、レジャー施設の開発、石油備蓄計画を行うなか、1980年4月に無人島となる。その後、タストン・エアポート社が馬毛島開発を買収し、日本版スペースシャトルの着陸場、使用済み核燃料の中間貯蔵施設などの構想が浮かんでは消えていった。

2007年に硫黄島で行っている米軍空母艦載機離発着訓練(FCLP)を移転する候補地として馬毛島が挙がっていることが初めて報道される。国は当初そのような話は一切ないと否定していたが、2011年6月の日米安全保障協議会(2+2)で「FCLPの恒久的な施設として使用する候補地である」と公表された。沖縄の復帰(1972年)以後、米軍施設の既存敷地内や隣接地での新設はあったが、まったく米軍施設のない土地に新たに新設されれば初めての事例となる。

また米軍だけでなく自衛隊員が150~200人が配備され、南西諸島の軍事要塞化の訓練施設・整備補給拠点となる。馬毛島の基地整備計画を見ると2本の滑走路を有し、揚陸施設を有し、陸海空自衛隊による12種類の訓練が想定されている。ステルス戦闘機F35Bが搭載される予定の海上自衛隊の護衛艦(実質的な空母)「いずも」「かが」の入港も可能となる。

つまり、陸海空自衛隊と米軍の機能が集結した、これまで例をみない軍事拠点がつくられようとしているのだ。タッチ&ゴーなどの飛行訓練は年間約3万回(自衛隊:約23,500回、米軍:約5,400回)にも及び、米軍は夜間の飛行も約600回行う計画である。騒音被害は人々の生活や周辺の自然環境に大きく影響する。

展望台で説明を聞く

自然破壊への影響

かつては緑の生い茂った自然豊かな島であったが、土地の造成により地面がむき出しとなっている。基地が造られれば島に住むマゲシカ(馬毛島の二ホンジカ)が絶滅する恐れもある。

すでに馬毛島周辺は良好な漁場であるが、漁業にも甚大な影響が出ている。腐葉土が藻場やプランクトンを育て、それを食べる小魚そして、小魚を餌にする大きな魚が生息していた。しかし、その自然の循環が破壊されている。トコブシ漁、カツオ、イカなど年々捕れなくなり、漁獲量は減少している。

漁師を続けられないため、種子島漁協でも漁が主な生業でない組合員が増えている。またボーリング調査の時期には、漁師が海上タクシーとして、8時間×3交替で日当65,000~70,000円で協力させられている。海上タクシーを行うためには、基地建設に反対しないという署名を交わす必要があるのだと言う。辺野古の監視船を漁師にやらせているのと同じ構図である。

基地建設は漁師の生活の糧を奪うと同時に、漁師の誇りや魂を殺すようなものである。ある漁師の男性は、「これまで馬毛島で漁をして生活してきた。これからも生活できるか不安だ」と語る。

 米軍・自衛隊基地からPFOSなどの汚染物質が流出していることが問題となっているが、仮に馬毛島から流れ出すと生体系への影響は馬毛島周辺に留まらない。黒潮の流れに乗って九州へと汚染は広がるのである。

案内してくれた和田香穂里さん(前西之表市議会議員)

3月27日(日)

陸・海・空一体の軍事要塞化

奄美大島地図

奄美大島では、市民の反対を押し切り2019年3月に陸上自衛隊の奄美駐屯地、瀬戸内分屯地が開設した。22年3月にはレーダー基地も完成し、電子線部隊が配備される。海上自衛隊の奄美基地分遣隊と航空自衛隊の奄美大島分屯地基地と合わせて陸・海・空が一体となり、島全体が軍事要塞化している。瀬戸内分屯地では現在も弾薬庫の建設が進められている。山を削り、5本の地下トンネルを掘る計画であるが、2本が完成し、4月から3本目の工事に入っている

基地と豊かな自然は存できない

2021年7月に、奄美大島・徳之島は世界自然遺産として登録された。しかし、基地と豊かな自然は共存できない。この登録にあたっては紆余曲折あった。日本政府は17年2月に基地予定地を外したバラバラの区域として推薦したが、国際自然保護連合(ICUN)は動植物を守る区域として一体的に指定できないと、登録延期を勧告。またIUCNの働きかけで、嘉徳川が緩衝地帯となった。嘉徳川の上流には瀬戸内分屯地がある。21年3月、嘉徳川の弾薬庫の工事現場付近が白濁していることが判明した。防衛省に抗議を行ったが、実際に濁っていた3月ではなく、「7月1日の水質が基準内であるため問題ない」と開き直る。奄美の自然環境を破壊する、軍拡工事、軍事訓練は今すぐ止めなければいけない。

瀬戸内分屯地

奄美大島の基地は山の上にあるため、市民の目からは基地は見えない。しかし、沖縄の嘉手納・普天間基地からオスプレイが飛んできて奄美大島で低空飛行訓練を行うなど騒音被害が急増している。昨年は週3日、夜も10時、11時まで訓練が行われていた。度重なる苦情・抗議の結果、現在は、週2日(火・木曜)となっているが、訓練は続けられている。

奄美駐屯地

基地が完成してからも毎月第一金曜日の街頭行動を続けている。また各定例議会には、「敵基地攻撃能力の保有を撤回すること」、「辺野古に土砂搬出をしないようにすること」など様々なテーマで陳情書を挙げている。しかし、議会構成が保守勢力が過半数を占めており、「国防は国の専権事項」として採択されない。

説明頂いた城村典文さん(戦争のための自衛隊配備に反対する奄美ネット)

辺野古の土砂搬出を許さない

辺野古新基地建設との関連では、奄美大島から土砂搬出の計画が立てられている。奄美大島と瀬戸内など西日本の7団体が「辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会」を発足した。今年も5月28・29日と鹿児島市内で総会が開かれ、南西諸島の軍事要塞化と辺野古への土砂搬出を許さない闘いについて討議される。