2月24日、ZENKO中央要請行動を実施し、オンライン参加を含め約50人が参加しました。内閣府への「大軍拡で生活を壊す岸田内閣退陣を求める署名」1400筆超の提出を皮切りに、福島みずほ参院議員の協力も得て、戦争推進と命・くらし切り捨て路線からの転換を6省庁に求めました。外務省は当日アポイントメントを破棄し、交渉ができませんでした。
その後、『ロシアのウクライナ侵攻から1年。ウクライナに平和を!2・24日比谷野音集会&デモ』に参加しました。大阪でも反戦デモが取り組まれました。
「台湾有事」の住民被害想定を追及/防衛省
防衛省要請行動には7人で臨みました。大軍拡と先制攻撃能力、沖縄・南西諸島(琉球弧)の軍事要塞化、辺野古新基地建設に反対する私たちの請願には、「安全環境が急速に変わった」「反撃能力は憲法違反ではない」「辺野古が唯一の解決策」と強弁を繰り返します。
防衛研究所や米国シンクタンクが「台湾有事」が実際に起きたら膨大な損害が出ると報告している点について、参加者が「防衛省は住民にどれほど被害が出るのかを検討しているのか」と迫ると、「さまざまないくつもの事態が想定できるので、あらかじめ答えるのは難しい」と回答しました。
神奈川・横浜ノースドックへの揚陸部隊配備のために攻撃対象となった場合の住民被害についても問いただすと、一方的に「時間が来た」と打ち切りました。追及されて答えきれなくなったのです。
一方、「防衛省は沖縄・下地島の軍事利用について軍事利用を認めない『屋良覚書』を遵守しないのか」と問うと「米軍に配慮を求める」と回答。自衛隊利用でも「地元の意向を考える必要がある」と、正面から開き直ることはできませんでした。沖縄では、地元住民が立ち上がり、玉城デニー知事も県議会で「覚書」の条例化の検討を明らかにしています。「覚書」順守を強く迫る闘いが進んでいるからです。
現場の闘いの力が岸田内閣・防衛省の軍拡と戦争政策を止めるカギであることが一層明確になりました。
原発回帰は許さない/経産省・資源エネ庁 規制庁
経済産業省・資源エネルギー庁は「エネ庁に誹謗中傷のメールが続いている」との理由で入場者を不当にも5人に制限。訴訟原告団長の村田弘さんやZENKOメンバーで原発運転期間延長撤回を求めました。
経産省は「閣議決定された方針は遂行する義務がある」と国策強行の意思をあらわにしました。現在国会に提出されている法案は、原発の運転期間に関する規定を原子炉等規制法から電気事業法に移管することを内容としています。成立すれば原発の運転期間は安全規制から利用を前提とした規制に変わります。運転期間や継続、停止の判断は「規制委の判断」と逃げの態度です。
続いて要請した原子力規制庁は「原発の利用面より科学的・技術的安全性を優先する姿勢に変わりない」としながらも「運転期間は利用規制の観点から経産省・エネ庁が決める」とこちらも逃げに終始しました。
停止期間を運転可能期間に上乗せすれば、より老朽化した状態での原発の運転になることは明確です。それを認めようとしない規制庁に対し、福島議員が「人間は寝ている間は歳を取らないと言っているのと同じだ」と迫る場面もありました。
事故やトラブルが起きても停止命令などの責任を果たす姿勢は、経産省・規制庁のどちらにもありません。第2の事故を防ぐには原発即時全面廃炉以外にないとの確信が深まります。経産省と規制庁との間で発言が矛盾し、この点の追及も今後の課題として浮かび上がりました。
「5類移行」で医療支援の手を抜くな/厚労省
政府は5月8日から、新型コロナを感染症法上の2類相当から5類に引き下げることを決めています。ZENKOは、このままでは公的支援が打ち切られ、世界最悪級の死亡者を生んでしまった医療体制はますます貧弱になると、厚生労働省に抜本的拡充を求める16項目にわたる要請を行いました。
厚労省の回答は総じて「3月上旬には案を示す」と、5類引き下げに伴う支援策の縮小・後退については口を閉ざしました。
5類引き下げに厚生科学審議会感染症部会で異論が出ていること、全国医学部長病院長会議が医療公費支援の継続が求めている点を指摘すると、「5月8日までに専門家会議で評価される」「急激な変更による負担増がないよう検討している」と答えを避けました。
これまでの支援策は、政府が制度をつくり自治体が実施する形です。しかし、政府の説明と現場の対応に大きな落差があります。高齢者施設、とりわけ小規模事業所などに対する医療支援や後遺症の救済について、参加者から実態が突き付けられました。「特養で80人が発症、6人が死亡した。入院すらできず、職員が感染覚悟でケアした」「担当医がコロナの後遺症だと判断すれば、救済すべきではないのか」など。
交渉にあたったZENKOの中川てつやさんは「現在の不十分な制度を変えてほしいから要請している。コロナ以前から充分ではなかった医療体制の拡充を図るべき。医師や保健師の増員が必要だ。それが厚労省の仕事だ。省内でよく議論してほしい」と念を押しました。
労働者に「裁量権」はない。厚労省は命を守る行政を/厚生労働省
厚生労働省への要請は、①労働政策審議会におけるM&A業務の専門型裁量労働制の適用対象追加の撤回②裁量労働制における制度濫用の抑制、労働時間管理の実効性確保等実際の労働実態を反映した制度改正もしくは現行制度運用の廃止を求めるものでした。
厚労省労働基準局の各担当者は定型的な回答に終始したが、事実上「裁量労働」で働く首都圏なかまユニオン組合員の実体験や労働実態を踏まえた赤裸々な訴えが交渉を規定しました。
中でも、裁量労働制で働く労働者の労働環境が劣悪と認められる場合、厚労省担当者の「適宜そうした企業に対してモニタリング調査を行う」との回答に対し、「当然予告された調査の前には体裁を整えた上で望むなど、これまでの自社の行状からすれば、適正なモニタリングなど到底不可能だ」という指摘は説得力があり、監督官庁と労働者当事者の労働実態に対する現状認識に大きな乖離が露呈した象徴的な場面でした。労基署など労働行政の現状のマンパワーを考えれば、監督官が企業に出向いてモニタリング調査を効果的に行うことが物理的に難しいのは明白です。
また、「パワーハラスメントについて事実上門前払いの対応を受けた」と行政への相談・申告の実情も訴えられました。労働施策総合推進法は2022年4月から規制強化となりましたが、所管官庁の労働局からの指導も未だ実効性を欠いたままです。
こうした当事者の労働実態を踏まえた労政審の審議や労働行政のあり方を変えていく取り組みを積み重ねて、人間らしく働ける労働環境を創り上げたいです。