「デジタル監視法」反対の動きが急速に広がっている。国会前だけでなく、各地で街頭行動、署名、FAX、自治体への要請行動など多様な方法で危険性を訴えている。市民の声でデジタル監視法案を廃案に追い込もう。
デジタル法案反対、個人情報保護を守れと市に要請 大阪・枚方
3月24日「平和で豊かな枚方を市民みんなでつくる会」(市民の会)は、枚方市に対して9回目のコロナ対策要請行動。それとともにデジタル関連6法案反対、個人情報保護を守れの要請書を提出しました。ICT戦略課、総合政策部企画政策室など関連部署にも要請書を持ってまわりました。
維新市政の枚方市はスマートシティを積極的に推進し、小中学校へのタブレット全員配布、高齢者に対するパソコン・スマホ所持アンケートを進めています。
最近では、「スマート街路灯」が市役所前緑道に設置されました。関西初といわれ、NECと提携した3年間の運用で、通行者の年齢・性別や人の流れを瞬時に解析し「データは周辺施設の来客数予測につなげるなど社会実験として施策に活用する」としています。
私たちが「個人情報保護がされるか心配」と迫っても、職員は「解析後即時破棄され個人を識別できる情報は一切保存されず大丈夫です」との返答。どの部署もデジタル関連法案への反応は弱く、「官民連携」が当たり前に進んでいることに危機感を感じました。
コロナに乗じてどさくさに通そうとするデジタル監視法案は絶対反対です!
(平和で豊かな枚方を市民みんなでつくる会 戸川悦子)
監視法反対で府・市に要請 自治体も困惑あらわ 京都
3月29日、ZENKO・京都は、京都府と京都市にコロナ対策とデジタル監視法反対の要請を行いました。
地域で訪問介護に関わっている方が参加し、京都府の健康福祉対策課に「高齢者施設には集中的にPCR検査するのに、訪問介護ヘルパーはなぜ対象外か?」と現場実態をもとに鋭く追求。後日回答を確約させました。ワクチン接種対策室に、ワクチン強制は反対!拒否者に不利益のないように!と強く求めました。
京都では初めての「デジタル監視法反対」要請を、京都府情報政策課と京都市情報課推進室に行いました。府の担当者は、デジタル法で個人情報保護条例の変更が迫られ「何がどうなるか見えない」と認めました。また、標準化で独自施策ができなくなるのでは、という質問には、「住民サービスが下がるのは本末転倒」と答えました。自治体の困惑ぶりがよくわかりました。
(ZENKO京都 佐藤和利)
駅前で法案反対署名行動 若者とも対話し手応え 兵庫
3月27日、阪神尼崎駅前で、8人で「デジタル監視法案」反対の署名宣伝行動。
話になったのは「公明党は賛成しているのですか」という20歳前後の青年。私は、党本部は賛成だが「プライバシー守れ」の条例や議会決議に公明党が賛成したところもあると説明した。
次に「マイナンバーカードを作ってしまったのですけど、悪用されないですよね」と20歳過ぎの青年の問いかけ。持っているだけなら今は特に問題ない。いろんなアプリなど便利さだけを求めると、落とし穴もある。最近でもラインが情報漏れで停止とか用心は必要、と言うと納得した様子だ。
残念ながら2人は署名はしてくれなかったが、1時間で5筆の協力があった。
(ZENKO兵庫 近藤伸一)
骨抜き狙われる個人情報保護法に地域からストップを 滋賀
4月7日、大津市へデジタル監視法案にかかる要請とワクチン接種に関する要請の申し入れを秘書課に行ないました。
デジタル監視法は衆院本会議で強行採決されましたが、まだこれからが勝負です。特に、自治体の個人情報保護条例が骨抜きにされることに対する自治体の立場が問われます。ワクチン接種も個人の意思が尊重され不利益を被らないようにしなければなりません。
秘書課長と課長補佐が30分間対応して下さいました。担当課に伝えてもらい、各担当課との面談での要請を強くお願いしました。以下、長文ですが、要請内容です。
(平和と市民自治のまち大津をともにつくる会 中川てつや)
□デジタル監視法関係
(要請事項)
1.貴市として「デジタル改革関連6法案」に反対を表明し、かつ同法案の撤回・廃案を国に要請すること。
2.国の「ワクチン接種記録システム」は、自治体事務に無用な混乱を起こすばかりでなく、「緊急時」「非常時」を口実に番号法の災害時の例外を無理やり適用し、特定個人情報保護評価を事後評価としたり、情報提供ネットワークシステムを使用せずマイナンバーをそのまま識別子とするなど、個人情報保護措置のルールを逸脱して利用を強行しようとしています。これらは、自治体での個人情報保護を形骸化するとともに、国のシステムに特定個人情報が保管されるという番号法違反の状態を生む極めて重大な問題を引き起こします。
よって、国に対して、番号法の脱法的解釈を行なうことなく厳格に適用するとともに、自治体への事務負担と混乱を生起させないよう強く要請を行なうこと
3.「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案」において、個人情報保護3法の統合と自治体の個人情報保護制度の共通ルール化がはかられようとしています。しかし、個人情報事務は自治体固有の自治事務であり、「法律又はこれに基づく政令により地方公共団体が処理することとされる事務が自治事務である場合においては、国は、地方公共団体が地域の特性に応じて当該事務を処理することができるよう特に配慮しなければならない。」(地方自治法第2条13項)とされており、国による共通ルール化の強要は違法です。
よって、個人情報保護に自治体が責任をもつものとして規定されている個人情報保護条例の「外部機関とのオンライン結合制限」の規定を廃止または規制緩和することのないよう堅持すること。
4.「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案」において、地方公共団体情報システム機構法の改悪〜「地方公共団体情報システム機構(J−LIS)に対する国のガバナンスの強化」により、J−LISを国と地方の共同団体の管理に変え、政府が目標設定や計画認可し、改善措置命令に違反すると理事長を解任するなど、事実上、国管理化しようとしています。これは、住基ネットができた際に「国民総背番号制ではない」と政府が説明した根拠の一つが「地方公共団体共同のシステムであり国が管理するシステムではない」と説明してきたことに反し、住民情報を国が管理することに道をひらくことになります。
よって、J−LISの国管理に反対し、地方公共団体共同のシステムとして堅持するよう国に対し強く要請すること。
5.「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律案」において自治体業務システムの統一・標準化が義務化されようとしています。新システムへの移行は、標準仕様を策定済みの住民基本台帳から2022年度に開始し、地方税や介護保険などは21年8月、国民年金や児童手当などは22年8月をめどにまとめ、17業務について原則として25年度末までに終える方向とされています。しかし、原則的に自治体による業務システムのカスタマイズは禁止されることから、必然的に法律に明記された必要最低限の住民サービスのみシステム化され、現在行われている地域の実情に応じて住民要求に沿った施策は切り捨てられる危険性があります。
よって、自治体業務システムの統一・標準化の義務化に反対し、貴市の住民要求に基づく独自施策やサービスを低下させないこと。
6.各法案において、税・社会保障・災害の3分野に限定されたはずのマイナンバーの際限のない利用拡大が図られようとしています。これは、マイナンバーカードに内蔵の電子証明書の発行番号(シリアル番号)を、 利用規制のあるマイナンバーの代わりに個人を識別特定するIDとして転用するもので、法の規定がないことを利用した脱法行為です。さらに「あらゆる行政手続がスマホから可能」とするため、電子証明書をスマホで利用できるようにしようとしており、スマホと電子証明書のシリアル番号による個人識別がむすびついて、一人一人の医療、教育、雇用、消費など生活と行動を監視するツールになる危険性があります。
また、本来マイナンバーで管理・提供される自分の情報を確認するという個人情報保護のために作られたマイナポータルを、マイナンバーで管理する個人情報を企業に提供する仕組みとして利用しようとしています。
よって、個人情報保護の観点かマイナンバーの際限のない脱法利用に反対し、少なくとも自治体事務手続として採用せず市民に対し推奨しないこと。
7.デジタル化の進展に伴い最も必要なことは、EU一般データ保護規則(GDPR)のように、データ主体である個人の権利を基本的な権利として位置づけ、アクセス権・訂正の権利・消去の権利等データ主体の権利をこそ定めることです。
よって国の個人情報保護法制に、自己情報のコントロール権など憲法13条に基づく個人データ保護の権利を保障する仕組みをつくることを強く要請すること。
8.前記事項について、貴市の個人情報保護条例を改正しその仕組みをつくること。
以上を要請の場を設けて回答すること。
□ワクチン接種関係
(要請事項)
1.医師の判断によらず、発熱したり不安を感じたらただちにPCR検査ができる体制、訪問、通所系含むすべての高齢者・医療施設等への一斉検査、医療の拡充と生活補償など、ワクチンだけに頼らない新型コロナウイルス対策を徹底すること。
2.接種するかしないかは、あくまで本人の自由意思であることを明確にした広報を徹底して行なうこと。
3.自治体においては、接種の広報において、接種が努力義務であることや接種の勧奨する文言は掲載しないこと。接種会場においても、文書や市民との対応においても同様に取り扱うこと。
4.ワクチンを接種しないことによって、通学を認めない、または就労できないなど不利益や差別、社会的圧力が生じないよう万全の措置をはかること。万が一、不利益が生じた場合、是正と不利益を被った者に対する救済ができる相談窓口をはじめとした仕組みを創設すること。