●意図的に朝鮮への挑発を続ける米日政府!
東アジアの軍事緊張がかつてなく高まっています。朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)は、8月29日の弾道ミサイル発射に続き9月3日、6回目となる核実験を強行しました。これは、東アジア和平の流れに逆行するものであり厳しく非難しなければなりません。
しかし、意図的に朝鮮を国際的孤立に追い込み軍事的包囲で威嚇しているのはトランプと安倍政権です。グアム近海へのミサイル発射の発端は、8月8日のトランプ大統領による、「世界史に類をみない炎と怒りで報いを受けるだろう」との朝鮮への挑発に端を発しています。これを受け朝鮮は翌9日、ミサイル発射計画を発表。11日、トランプは「炎と怒り」発言を「厳しさが足りなかった」として、「軍事的準備はすでに整っている」「グアムに対して何かすれば、誰も見たことのない事態が北朝鮮で起こることになる」と更なる脅しを行いました。
これ以降、米・朝の挑発合戦はエスカレートして行きます。8月21~31日、朝鮮が中止を求めていた『米韓合同軍事演習』が6万7500人を動員し、オーストラリアや英国、カナダなど7ヶ国の部隊も参加して強行されました。演習と言いますが、朝鮮への先制攻撃や、特殊部隊『グリーンベレー』などによる金正恩委員長“斬首作戦”の訓練が進められ、空母カールビンソンとロナルドレーガン・米海軍イージス艦10隻・原子力潜水艦3隻・戦闘機160機等が集結し、自衛隊も連動して訓練を行ったとみられています。一つ間違えば戦端を開きかねない大軍事演習の強行は、最悪の戦争挑発行為であったことは確かです。これら一連の動きの中で、核実験が行われました。
●国連「経済制裁」決議は、朝鮮をさらに軍事緊張へと追いつめる!
トランプは「(対話は)解決策ではない。あらゆる選択肢を排除しない」とし、マティス国防長官も「大規模な軍事行動」の構えに言及。安倍首相は「より重大かつ差し迫った新たな段階の脅威だ」と、トランプと共に国連安全保障理事会で朝鮮に対する追加の「経済制裁」決議を採択しようとしています。その内容は「石油の全面禁輸」「朝鮮からの労働者受け入れ禁止」「繊維製品の禁輸」「資産凍結(国営高麗航空など7組織・朝鮮労働党幹部)」など「最強の制裁」(米国のヘイリー国連大使)と言われています。
「経済制裁」というと柔らかな外交カードのように感じますが、これらを実行するためには、封鎖海域や港湾などを決め朝鮮籍の船舶に対する臨検、拿捕、貨物没収などの手段が用いられることになります。これらは交戦権の行使・敵対行為とみなされ、戦時国際法における中立国の権利義務に抵触する可能性もあるのです。戦前「経済制裁」は、「経済封鎖」または「経済断交」と呼ばれていました。かつて大日本帝国は、米国による石油などの禁輸や在米資産凍結などの対日措置のなかで全面戦争へと突入していった史実を忘れてはなりません。「制裁」による孤立化ではなく、『対話』こそ解決策でなければならないのです。
●自ら「軍事緊張」を作りだし、改憲・戦争国家作りに利用する安倍政権!
国際社会は、この間冷静な対応をとってきました。中国やロシアは米国に慎重対応を呼びかけ、独メルケル首相は「軍事的な解決策はない」「ドイツは軍事的でない解決策に積極的に関与する」と表明。韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は、トランプに「朝鮮半島で再び戦争の惨状が繰り広げられるのは決して容認できない」と明言しました。
しかし、安倍政権はこれらとは真逆の立場をとっています。「より重大かつ差し迫った新たな段階の脅威だ」と「朝鮮脅威」を声高に叫び、「さらなる行動を。トランプ大統領と完全に一致」と国連では追加制裁決議を上げることに必死になり、国内では、戦争法発動、集団的自衛権行使に動き始めました。「敵基地攻撃能力を日本は保有すべき」との意見まで、安易に論じられていますが、これは国際法が禁じる先制攻撃です。日本政府が堅持してきた「専守防衛」の理念さえ踏みにじろうとしているのです。
8月10日、小野寺防衛相は「(朝鮮のミサイル発射は)存立危機事態にあたる」と答弁し、愛媛、島根、広島、高知4県に迎撃ミサイルPAC3を配備し、中四国9県202市町村を巻き込みJアラート(全国瞬時警報システム)訓練を実施しました。ミサイル発射に際しては、12道県でJアラートを発動し、一部では馬鹿げた緊急避難訓練まで行われました。
一方、直接的な危険性の高い原発立地自治体や米軍横田基地・横須賀基地を抱える東京・神奈川などにはJアラートを適用していません。ミサイル発射に対してまったく役立にたたないJアラート訓練や発動は、市民の危機意識を扇動し戦争遂行のための自治体協力を進めるものでした。安倍政権は、米・朝危機を利用して軍事緊張をあおり続け、自衛隊の軍事力強化と戦争態勢への自治体・市民協力と、政権延命を狙っているのです。
●戦争・改憲を拒否するアジアの民衆意思!
韓国でも、『米韓合同軍事演習』に反対する市民・労働者の闘いが広がり、ソウル・米大使館の前で抗議が行われています。また8月9日長崎原爆忌に、安倍首相は被爆者五団体の代表から日本政府が核兵器禁止条約をボイコットしたことについて、「あなたはどこの国の総理ですか」と痛烈な批判の言葉を浴びました。12日、名護市辺野古の新基地建設に反対する「沖縄県民大会」には4万5千人が参加し、翁長県知事が「民意はいささかの揺るぎもない」「必ず辺野古埋め立て承認を撤回する」「命の限り頑張りましょう」と呼びかけました。被曝者や沖縄の戦争につながる一切を許さぬ人々の意志は、敗戦から72年を迎える今日も脈々と引き継がれ、安倍政権の暴走の下でいっそう強固になっています。東アジアにおける緊張緩和と平和の確立は、軍事ではなく対話で実現していくしかありません。
●戦争・改憲の安倍政権を倒そう!2つの署名にご協力ください!
東京都議選で大敗北を喫した安倍首相は、世論の批判を意識して「2020年改憲施行」としていた日程について、「スケジュールありきではない」と言わざるを得ませんでした。しかし、高村正彦自民党副総裁は臨時国会で自民党改憲案を提示し、来年の通常国会で発議するとの方針を変えていません。朝鮮危機を利用して脅威をあおり、沖縄新基地建設や南西諸島への自衛隊配備・増強、戦争・改憲への道を突き進む安倍政権を倒しましょう。戦争によって幾百万の市民の命がどうなろうと、まったく関心がないがごとき言動を繰り返す安倍政権をこれ以上のさばらせるわけにはいきません。
『ZENKO』は、『安倍政権即時退陣署名』に取り組んでいます。また9月8日に『安倍9条改憲NO!全国市民アクション』のキックオフ集会が開催され、9条改憲阻止の3000万人署名運動が開始されました。2つの署名に、ぜひご協力ください。安倍政権を市民の運動の力で倒し、平和で民主主義の貫かれた社会をつくりだしていきましょう!(9月11日)
≪ご案内≫安倍政権を倒そう!憲法改悪を止めよう!9・30MDS集会
◆9月30日(土)18:15開場 18:30~20:55 エル・おおさか南ホール(500円)
▸基調講演『安倍政権を倒そう!憲法改悪を止めよう!』MDS副委員長・山川よしやす
▸映像構成詩 他。
※臨時国会冒頭、安倍政権の戦争・改憲路線と闘う展望を共に作りだしていく集会です。ご参加ください。
平和と民主主義をめざす全国交歓会(ZENKO)
TEL:090-8536-3170(山川)