【石垣島訪問報告】ミサイル基地建設は自然、市民生活の破壊だ

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建設現場を案内して頂いた

石垣島の陸上自衛隊ミサイル基地建設は自然環境への影響や反対の民意を押し切り22年度開設に向けて急ピッチで工事が進められている。しかし、計画通り工事は進んでいない。

計画地は元々、ゴルフ場だった土地を買い取り、造成工事が行われているが、土壌の中から大きな岩がゴロゴロと出てきている。それを敷地内で砕石し、建設に利用しているが、そのため大幅に時間がかかっている。また掘削・砕石作業などで騒音は80dBを超える時もあり、周辺住民や国立天然記念物のカンムリワシなどの生態系にも影響を与えている。

砕石作業が行われている

降雨が続いた今年1月には、建設現場の大里農道側の出入口周辺で赤土混じりの泥水が流出した。沖縄県赤土等流出防止条例違反であるとして八重山保健所に通報。しかし、対策について回答はなく、逆に市民が監視できないよう出入口にゲートが造られ、警備員が立つようになった。

赤土対策の沈砂池

現在、3棟の隊庁舎や食堂等の福利厚生施設が建設されているが、基地全体が完成しなくても自衛隊員が先行配備されると言われている。そのため、市街地には自衛隊員とその家族が居住する宿舎の建設が進められている。

隊庁舎が建設されている

石垣港では昨年11月に全長150mと海上保安庁で最大級・最新鋭のヘリコプター搭載型巡視船「あさづき」が入港した。全国に69隻ある大型巡視船が常時14~16隻配備されている。今年1月には中山・石垣市長が乗船し尖閣諸島周辺の海洋調査も行っている。このような軍事的挑発行為は、中国との間で偶発的な軍事衝突が起こる危険性を高めている。

大型巡視船が並ぶ
海上保安庁の動きについて説明して頂く

4月16日、石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会主催の学習会「どうなっているの?どうなるの?ミサイル基地~現状報告と土地規制法など~」には45人もの市民が参加した。

学習会には45人が参加

沖縄ドローンプロジェクトの奥間政則さんは、ドローンで撮影した写真で現在の工事の状況について説明。また同じく南西諸島で進んでいる奄美大島の射撃場や宮古島の弾薬庫が、同じように石垣島のミサイル基地でも造られようとしていることから、島々が連帯して基地建設反対の運動を行う意義を訴える。また赤土流出についても下流で採取し、分析を行うことで無法な工事を止めることができると力説する。

奥間政則さん

仲松弁護士は6月一部施行、9月に全面施行の「重要土地規制法」について解説。何をすれば処罰されるのか分からず、内閣総理大臣の恣意的な運用で基地や原発施設等の周辺に住む人だけでなく、そこに関わる人の全員の活動歴、職業、資産状況、交友関係、思想信条などを調査することができる、まさに『重要施設等周辺住民監視法』であると警鐘を鳴らす。ZENKOからも大阪のカジノ住民投票について報告を行った。

仲松正人弁護士

基地予定地の近くではパイナップルやサトウキビ農家、蚕から生糸をつくり、布を織る人々などが生活を営んでいる。

また弾薬庫近くの国道は小学校の通学路となっている。ロシアのウクライナ侵攻により、基地のある場所が真っ先に狙われることがはっきりした。

今回の訪問期間中に、石垣島トライアスロンが開催され、景勝地である川平湾にも多くの観光客が来ていた。石垣の自然を求めて来島する観光客も、軍事緊張が高まれば減少する。人々の生活と軍事基地は両立しない。

これからも石垣島の基地建設阻止の闘いと連帯していきたい。

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