個人情報保護骨抜きのデジタル監視法案は廃案!署名1511筆を提出─今後の闘いへの力に(4.14デジタル監視法案の廃案を求めるZENKO中央要請行動報告)

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参議院会館会議室での請願・意見交換

概要

2021年4月14日(水)デジタル監視法案が参議院審議入りした。この日、ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)はデジタル監視法案の廃案に向けて参議院会館会議室で中央要請行動を実施した。福島みずほ参議院議員の協力のもと、1時間30分にわたり担当省庁への請願、意見交換を行った。

また各地域で集めた同法案の撤回とプライバシー権の確立を求める緊急署名1511筆を内閣府に提出した。

出席者

・政府関係者15人…内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室 企画官/内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室兼デジタル改革関連法案準備室企画官3人、同室長補佐1人、同専門官1人/内閣官房番号制度推進室参事官補佐1人/個人情報保護委員会事務局参事官補佐3人/総務省自治行政局行政課参事官1人、同行政企画官1人、同課長補佐1人、同兼マイナンバー制度支援室課長補佐1人、本人確認情報保護専門官1人/総務省自治行政局住民制度課課長補佐1人。

・ZENKO関係者他…現地参加29人、Zoom参加16人/石川氏(福島みずほ参議院議員秘書)。

デジタル監視法案廃案緊急署名

1511筆提出。

内閣府へ首相あて1511筆の署名を提出

概括

(1)内閣府大臣官房総務課担当官によれば、「4月1日~14日の期間にデジタル監視法案に関する請願はZENKO以外にはない」とのことであった。このような中で菅政権も要請・意見交換会を位置づけ、法案作成実務を担った課長級の官僚が多数出席した。衆院審議で明言しなかった条例制定の制限~個人情報保護の骨抜きを暴露した。またワクチン接種システムは自治体判断で使用しなくても良いと明言もさせ、今後の廃案をめざす闘いと自治体での実質化を許さない取り組みに使える内容を引き出す成果を得た。

(2)政府の考え方として、個人情報の保護は「個人の権利権益」をまもるという目的達成のための手段であり、その権利権益は財産権である(IT総合戦略室中田企画官)という考え方であった。そこには、自然人として生まれながらに持っている人権という考え方はなく、情報の利活用が優先されるもので、自己情報コントロール権は認められないということになる。これは、番号法の附則の6条「…国民の利便性の向上を図る観点から、民間における活用を視野に入れて…」を根拠に利活用を進めている(平岡参事官補佐)という回答に現われている。

(3)ワクチン接種システムについて自治体判断で使用しなくても良い、また自治体間の照会でマイナンバーを使用しなくても良いことを認めさせた。個人情報保護条例関係では「外部機関とのオンライン結合制限」などの現行の規定を残すことはできない」、企業に提供する匿名加工情報は「都道府県と政令市は義務なのでやらないということはできない。それ以外の自治体は任意」と明言した。自治体での個人情報保護条例は完全に骨抜きにされる。

(4)自治体システム標準化法案では、独自カスタマイズができるか否かについて「システム的には可能」としたが、これまでの施策がすべて可能とは答えなかった。特に、カスタマイズは自治体の費用で行なうこと、Gクラウドに載せる適合が必要とされ実際に自治体で行うことは困難と考えられる。

(5)回答は「データ共同利用権は法案に書いておらず、採用していない」「一元化は考えていない。法案に書いてない」「(マイナポータルでのアプリでの情報提供など)本人同意が原則であり問題ない」を貫いた。データ共同利用権、一元化など法律に書くはずはない。また本人同意が原則と言うが、マイナンバーカードの全国民取得からスマホでの活用やあらゆる免許の一体化を進める中で、それに同意しないと(使わないと)暮らせない社会を政府は作ろうとしている。政府と資本がどういう社会をつくろうとしているかを抜きに法案評価はありえない。防衛省の横田基地訴訟原告団情報把握からも明らかである。

(6)EU一般データ保護規則(GDRR)で、「GDRR十分性認定」というものがあり、GDPRと個人情報保護法、EUと日本とお互い同等のものだと認め合っている条約があるとして、基準は一緒と言って煙にまいた。詭弁だ。2019年1月に日本とEUの間で発効した「GDRR十分性認定」は、企業の利活用のために相互の円滑な個人データ移転を図る枠組みで日本の企業もEU現地で個人情報を取り扱うときに「十分なデータ保護の水準を持つ」と互いの政府が認めたにすぎず、個人情報の定義を同じとするものではない。日本ではEUのようにオンライン識別子などのデータに関し規制はなく、日本国内での取扱いがEUのようになったわけではない。

(7)質問の中で、「個人情報保護委員会で強制的な条例の修正」問題やワクチンシステムでの政策変更での番号法19-15適用の誤りに対する見解などは、時間切れで回答もなかった。

担当:山川よしやす